息子がユースセレクションに挑戦した(4)

県内Jクラブのセレクション。いい出来ではあったが果たして結果はどうなるのか?通知は葉書きで次週の半ばには来るという事であった。この5〜6日間、親としては先に特待生で来ないかといってくれていた私立高校に決めてもいいのではないかと気持ちは傾いていた。多分セレクションの結果は厳しいものだろうと思って…
母親は毎日郵便配達がくるとドキドキもので待っていた。
次の週には所属クラブの夏合宿が予定されており、結果が来るのが遅いと合宿中になってしまう。合格ならいいけど、だめだったらうちにいるものにとってはちょっとつらいなぁ、と考えていた矢先に通知葉書きがきた。

なんと、「一次通過と二次選考のご案内」、と書いてある(驚)
これには正直驚いた。ある意味まったく無名で選抜歴もほぼ無い、ノーマークの彼があまりゆかりのないこのクラブのセレクションを一次通過するということは、先に書いた私の認識を改めなくちゃならない。見てる人は見てるんだ、ということか…
たしかに、7月のセレクションから今回のセレクションまでの彼のプレーを見ていて多少の波はあるものの、確実に伸びているとは思っていた。所属クラブでのプレーはほとんどあてにならないほどのプレー振りであったこともたしかだった。この数週間で飛躍的に伸びたといえると思う。しかし、それがセレクションの結果につながるほどかというと私の中では疑問符がついていた。
でも、その予想とセレクションに関する私の認識を覆して、とにもかくにも一次通過である。この先どんなことが待っているか、まだまだ不安とちょっぴりの期待を持たせてくれて、彼は夏合宿に出発した。

彼が出発したその日に、Jクラブのコーチから、合宿から帰った2日後という日程で2次セレクションを行う旨の連絡が入った。すでにその時には以下のようなことが判明しており、コーチにはそのことも伝えた。

合宿のほうはいわゆる試合合宿で、近隣に合宿に来ているチームと毎日試合が組まれているというものだった。彼は彼なりに課題を持って行ったようで張り切っていた。が、初日の第一試合前のウォーミングアップ中に異変があったらしい。太腿の前面に痛みが出てきて、試合には出たものの、前半で交代したらしい。私のところに電話があり症状を聞いたが、どうやら軽い肉離れと推察された。
どうするべきか… チームの事情もある(一ヵ月後には3年最後の大会)がここは早急に治すことに専念すべきだろうと判断し、監督さんに電話を入れたり、件の鍼灸の先生にアドバイスをもらったりとこちらで動いて、次の日には強制送還で自宅に帰ってくることにした。監督さんも気を使ってくれて車でかなりはなれた駅まで送ってくれたりした。
しかし、帰宅した彼は非常に不機嫌で、我々と口もきかない構えである。なんだ、どうしたんだとたずねても、むっつり黙って不機嫌である。
どうやら、本人的には怪我の程度はたいしたことはないと考えていて、なのに親が監督と連絡取ったりするものだから騒ぎが大きくなって、さらに帰らされる羽目になったことが気に入らなかったらしい。それだけ、この合宿には期するものがあったらしいのである。
まぁそれもわからんではないが、ここで無理をして怪我がひどくなることも考えられたわけで、時期が時期だけに親もちょっと過敏に動いてしまったことは否めない。ということで、件の鍼灸の先生に無理を言って診察やらアドバイスをもらいに行き、なにやら不思議な湿布のようなものの作り方を教えてもらって帰ってきた。とにかく、当日までは激しく動くなと言われたらしく、こうなったらイメージトレーニングしかないと、イニエスタの映像を繰り返し繰り返し見ていた。

そして、二次セレクションである。(実はここから先は何次セレクションなのか良くわからなくなってくるのであるが)
本人曰く、太腿は若干違和感はあるものの大丈夫みたい、という状態であった。セレクションは県内の高校チームとユースチームが練習試合を行うので、そのゲームにユースの選手に混ざって出場する、というものだった。試合の相手高校はたまたま春に関東大会の県内予選準決勝を息子と見に行ったときのチームであった。
高校生の中でプレーするということでかなり楽しみでもあり不安でもあった。どうやら、この段階で呼ばれていたセレクション組は7人程度のようであった。
試合前のウォーミングアップがかなりハードで長時間だった。これはアップじゃなくてトレーニングなんだと途中で気がついた。そのなかで中学生達が適応できるかどうか見ているのだなと。ハーフコートよりやや小さいコートで6vs6。初めは手でボールをパスしつつゴールはヘディングで狙うといったようなゲームからさまざまに条件を変えて、足で扱うゲームになり、GKを入れてフリーマンをいれたりゴール横にポストマンを入れたりと言った内容。条件設定もさりながら、ゲームの攻守の切り替えが早く中学生達はそこにかなり戸惑っていたようだった。息子も所属クラブではこんなに切り替えの速さと正確性を要求されるトレーニングはやったことがなく、後で聞いたら、何をやっていいのかさっぱりわからなかった、らしい(笑)。ま、それなりにやってたけどね。
そして、ゲーム。さすがにAチーム戦ではなく、Bチーム戦での出場らしく、1試合分時間があいた。さっきのトレーニングの直後だったらかなりきつかっただろうけど、少しは回復できるか。しかしとにかく暑く、親はこの間にコンビニ休憩してきた。(コンビニが遠かった) Aチーム戦を半分観戦したが、さすがに県内ベスト4に入るチームで、プレッシャーも早く一人一人がしっかりスキルを持ったチームだった。こんな中に入れられたら今の息子は到底ついていけないだろうなぁと思いつつコンビニへ……
そしてBチーム戦。スタートメンバーには中学生はいなかった。ゲームはB戦とは言えやはり攻守の切り替え、プレッシャーがはやく、この中でできるのか?と最初は思っていた。が、暑さのために明らかに選手達の動きが落ち始めた頃、息子達中学生がポロポロと交代で投入され始めた。息子はMFで投入されたらしかった。相手も味方もやや運動量が落ちプレッシャーもそれほど厳しくない中でのプレーだったので、前回と同じくそこそこいいプレーができていたように見受けられた。ディフェンス時に問題はあるものの……。
35分を2本やったが、息子は1本半の出場だった。さすがに最後のほうはバテバテであった。でも、それはみんなも同じ。この暑さじゃどうしようもない。

ほんとに今年の夏は殺人的な暑さだ

(続く)