息子がユースセレクションに挑戦した(6)

7月の中旬からはじまった息子のサッカー行脚。もうカレンダーは9月の初旬になっていた。しかし、猛暑はいっこうにおさまる気配がなく、暑さと先行きの不安でかなり疲れ気味であった(笑)。
5度目のセレクションはジュニアユースの子達に混ぜられて練習ゲームということで、これはけっこう複雑な状況だった。一次選考会ですでに説明があった通り、ジュニアユースからユースに上がる内部昇格の者はすでに決定済みであるということであった。だから、この中には上がれなかった子達がたくさんいるわけでそこに外から来た息子がユースに上がる可能性を持ってゲームにいれられるわけだ。複雑な思惑が働いても不思議じゃない状況だ。さらに、練習ゲームの相手チームがもっと状況を複雑にする。このチームもこのクラブのジュニアユースという位置づけのチームなのである。活動は別の場所で行っていてチームは別だが、つながりはあるというチームでここにもユースに上がれなかった子達がいただろうと想像された。さらに、さらに、このチームには息子が小学校のときに通っていたスペシャルクラスに在籍していた子が二人いる。勝手知ったる相手チームに見慣れない息子がいれば、状況を察することは簡単だっただろうと思う。
ということで、この日は考えようによってはサッカー以前の背景が複雑で、ことによるとそれに潰されてもおかしくない状況でもあった。

ゲームが始まった。息子はスタートメンバーにいれられてポジションはMFだった。他のMFプレイヤーが攻撃的で上がっていってしまう傾向にあるので勢い息子はボランチ的なポジショニングになっていた。というか、完全に守備的なMFというところか…
複雑な状況については心配するほどではなかったみたいだ。すくなくとも味方チームのメンバーは普通にプレーしていたようだ。が、相手チームの特に二人が息子にボールがはいるとかなり早く厳しいプレッシャーを掛けてくる。それは、もちろんサッカーでは当たり前のことなんだけど、やや当たり前以上のものを感じた。当然といえば当然だ。
プレーの方はなんというか、可もなく不可もなくという感じだった。どちらかといえば、不可だった。私の目からはやはりDFの下手さが目立つのである。あとで聞くと、ゲーム前やハーフタイム、周りの連中に自分はどういうプレーをするのか、だからこうなったらこうしてくれ、という要求をかなりしていたらしい。
しかし、彼が感じたところではこのチームのもっているクセみたいなものが自分にはマッチしなくて、ボールを持って前を見た瞬間、FWと考えてることが違うということが何度かあったそうだ。また、後ろのDFからは相手DFの背後にパスを入れると、「まだ早い」という声がかかったそうだ。いくら、ゲーム前に話したところで、そういう部分をあわせるのは時間がかかるもんだから仕方のないことだ。で、やりたいことができないうちにプレッシャーを喰らってしまい消極的なプレーを選択するはめになり、さらにプレッシャーにびびってしまうという悪循環に入ってしまったらしい。後半の最後だけ、ひとつ狙っていた場面がめぐってきた。前に進出したFW、MFが詰まったところで、タメを作って確保しておいたスペースに進出してパスを受ける、そしてミドルシュート。狙い通りだった。強烈なシュートはしかしポストを叩いた……

このレベルの子達の中でそこそこ通用する程度のプレーができてること自体が彼のこの夏の成長の証ではあった。それは、メンタル面も含めてである。所属チームでのプレーからは想像できないことであった。もともと右利きだが、左足で蹴れるようになったのもこの春先から思い切りプレーできるようになってからの自主練の成果だ。まぁよくやったと思う。

次は1週間以内に連絡をくれるということでこの日は終わった。

(続く)