息子がユースセレクションに挑戦した(5)

ひたすら暑かった。
この日、彼はコーチからいろいろアドバイスをもらって帰ってくることになる。君の特長はこうだとかいろいろと…。それは、彼にとって意外な内容だったらしく、そんなことを言われたのは初めてだと感想を言っていた。私はそれを聞き、やっぱり以前に書いたセレクションに関する認識をここでは改めなきゃいけないなと思わされた。息子の口から聞くコーチの話はいちいちうなずかされることが多く、よく見てくれてたのだなぁと思った。一次セレクションでの短い時間でよくそこまで見切れたなぁと感心してしまった。

で、次回、また来てくれということである。
んーーー、それは二次選考を通ったということなのか?
もう、8月も下旬になっていた。次もまたユースの子達に混じって練習試合に入りプレーするということらしかった。相手は、インターハイに出場した高校チーム。今は正月の高校選手権予選に向けて準備をしている時期である。
当日、私は遅れていったのだが、ゲームは始まっていた。中学生は3人ほど呼ばれているようだった。息子はスタートから使われていたようであったが、何せ途中からだったのでプレー振りは良くわからなかった。が、後半相手陣内、ゴールから20m弱の中央付近で相手を抜きにかかってファールを喰らいフリーキックを得た。所属チームではフリーキックはすべて彼が蹴っているがこの場面どうするかと見ていたら、なんと、息子が蹴るらしい。自分で取ったフリーキックだから自分で蹴る。とばかりに主張したらしい。高校生に対し天晴れじゃないかと思っていたが、ゴールを狙って蹴ったボールはへにゃへにゃで、壁にあたって跳ね返されていた(笑)。後で聞くと、壁がとにかく高かったうえにジャンプされたから想定外の高さになった、らしい(笑)。
この日の試合は彼にとって未体験ゾーンで、とにかくプレッシャーがはやくて、ビビッてしまったらしい。何にもいいことができなかったとしょげていた…。そりゃ、インターハイ出場チームである。さもありなん。
そして、終了後またもやコーチにいろいろ聞きに行ったらしく、今日の自分の内容と、前の2回の内容と比べてどうだったのか、とか、なぜ今日は思い通りのプレーができなかったのか、とか、そんなことをさまざま、話してくれたらしい。
なんだか、これはセレクションじゃなくてコーチングになってないか?と思った。
で、連絡を待っていてくれということらしかった。
うーん、これからどうなるのだろう、コーチの話してくれる内容がコーチングっぽいし脈があるのかなぁとか、いろいろ思いをめぐらせとにかく待つ身はつらいものだ。5〜6日して連絡が来た。こんどはユースの練習に来るようにということである。。もう、カレンダーは9月になっていた。
このクラブの一次セレクションを受けてから一ヶ月が経っていた。私の当初の考えから言えば、ここまで来てること自体が奇跡的なのだが、こうなったらなったでうまくいくことを願うのも親心だ。セレクションを受けに来た子達の中でそんなに目立った存在ではなかったと思われる息子が、ふるいにかけられてここまで残っている理由はなんなのか、ある程度はコーチの話からわかっていたが、私の目から見て決定的に欠けている部分が常に気がかりだった。何度も書いたがディフェンスの下手くそさと、切り替えの遅さである。

もう4回目となるセレクション。ユースのトレーニングに入れられての選考らしい。しかし、大腿の状態が完全じゃなかったのでその旨伝えると、日程を後ろにずらしてくれたのだった。
内容は2次選考の時と同じような内容だった。ハーフコートよりやや小さいコートでやや人数は多め、ハイプレッシャーで切り替えの早いなかでの判断、プレーの正確性をトレーニングするような内容だった。高校生に混じってまぁそこそこついていけてたが、何度か給水タイムを経るうちにかなりばてているのがわかった。
従前とおなじように、条件をいろいろ変えながらトレーニングは進み約1時間半、みっちりおこなった。最後に、一点どちらかのチームが得点したらトレーニング終了という条件が出された。みな、バテ気味だったがこれで少しテンションが上がり、スピードも上がった。で、このトレーニングを終わらせたのが息子のミドルシュートだった(笑)。ゴールが決まり、皆が唖然とする瞬間があった。え?!こいつ(中学生)終わらせやがった……みたいな……
ひいき目に見がちな身内の目ではあるが、すばらしいキックによるミドルシュートだった。
コーチから言われてはいたが、彼のこのようなキックは魅力だったらしい。
この日、練習後、またコーチからさまざまなアドバイスをもらうことになる。次回はジュニアユースの練習ゲームに入ってプレーを見させてもらう、ということらしかったが、どのようにプレーすべきかをわりと細かく教えてくれたらしい(笑)。いったいこれって……。答えを教えてもらって試験を受けるようなものだなぁと、後で息子から聞いて思ったが(笑)、それにはクラブ側の事情があったらしい。

(続く)